19 мая 2014 года в19.05.2014 12:47 1 0 10 1

しかし、きのうの様子とは

しかし、きのうの様子とは、まるで違つていた。第一に、それは襲いかゝるような勢いで彼女たちを取りかこみ、たちまち、動きのとれぬものにした。汽笛の音がどこかで底鳴りのように聞えるのだけれども、海の方向さえ、もう見当がつかぬ。もし風がとき/″\吹かなければ、足もとの道も見えないくらいであつた。  康子はいつまでも、こうしてはいられぬと思い、一歩、一歩、用意深く前へ進んだ。ときたま風向きによつて、眼の前にぱッと視界がひらける瞬間がある。彼女はすかさず足をはやめ、ほつとひと息つくのである。が、こういうことを繰りかえしているうちに、疲れは刻々に重なつて、からだが言うことをきかなくなる。  親子はついに、折り重つて、砂地の斜面の上に倒れてしまう……。  どれくらい時間がたつたか、康子は、ふと眼をさます。モトムは彼女の腕のなかですや/\眠つている。手足は冷えきつて無感覚になつているのだけれども、背中には日光の直射が感じられる。霧はもうなかばはれていた。  顔をしずかにあげると、海がすぐ眼の前に見える。波打ちぎわの白い線が遠く続いているかなたの空に、あざやかなにじがうかんでいる。  そのにじのほのおの下に、まださめきらぬ彼女の夢の名残りのように、ひとならびのバラックの屋根が、ぼんやりかすんで見えた。 女房の妬くほど亭主もてもせず

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NYOUBOU — 女房の妬くほど亭主もてもせず

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